希少性の原理とは、ある対象が限定されると、その対象を不当に価値付けしてしまうという心理現象のことです。
例えば、バーゲンセールなどで「限定100個!」「12月31日までの〜」「地域限定の〜」などと言われると、必要がなかったとしても「欲しい!」と感じてしまいませんか?
このように、私たちは「数量」「期限」「地域」などが限定されていると、その対象に価値があると見積もってしまうのです。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで今回は、
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1.希少性の原理とは
2.希少性の原理を営業に活用する方法
3.希少性の原理をマーケティングに活用する方法
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というテーマでお伝えしていこうと思います。
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希少性の原理とは
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希少性の原理
ある対象が限定されると、その対象を不当に価値付けしてしまうという心理現象
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希少性の原理は、社会心理学者ロバート・チャルディーニが提唱したものです。
他にも、チャルディーニは、返報性の原理、コミットメントと一貫性の原理、社会的証明、好意、権威などの心理法則についても提唱しています。
もしも、これらの法則について理解を深めたい方は、ロバート・チャルディーニ著の『影響力の武器』を参考にしてみてください。
リンク
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希少性の原理の具体例
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ではいくつか具体例をみていきましょう。
◆バーゲンセールス
「限定100個!」「12月31日までの〜」などと言われると、
たった1,000円のシャツだったとしても、その価値を高く見積もるようになり、「手に入れたい!」という欲求が生まれます。
◆非売品
非売品とは、一般では販売されていない商品のことです。
例えば、非売品の人形がオークションなどに出品されていたとする。(とくに可愛くもない人形です)
すると、多くの場合、値段がどんどんつりあがっていきます。
なぜなら、非売品という希少性があるからです。
つまり、その商品に機能性などがなかったとしても、われわれは希少性の影響を受け、高いお金を支払ってしまうことがあるのです。
◆ギザ10
ギザ10とは、円の周りがギザギザした10円玉のことです。
ギザ10は1951~1958年に製造された10円玉で、もう製造されていません。
それがゆえに、希少性の原理が働き、現在は高値で取引されているようです。
ただの10円玉であるにも関わらず、それを高値で取引しているのって面白いですよね?
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希少性の原理から起こった事件
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では、ここで1つ希少性の原理がもたらした事件を紹介します。
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【事件】オールドコークとニューコーク
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1985年、コカ・コーラ社はある事件を起こしたのです。
それは「甘みの強いペプシを好む人が増えているというデータ」を踏まえて、従来の製法のコークを撤退させて、もっと甘い「ニュー・コーク」に切り替えるというものでした。
これに従来の「オールド・コーク」を愛飲する人たちは激怒したのです。
中でも引退した投資家であるゲイ・マリンズ氏は大激怒して「全米オールド・コーラ愛飲家協会」という組織を立ち上げたことで一躍有名になりました。
◆味はどうでもよかった…
しかし、ここで驚くべきことは、ゲイ・マリンズ氏はブラインドテストでオリジナルコークとニューコークの違いがわからなかったのです。
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ブラインドテストとは、目隠しでコーラの味を当たるといったテストのこと
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つまり、彼は従来の「オールド・コーク」を飲む機会を失ってしまうという欲求だけで、このような大胆な行動をしたのです。
ちなみに、この事件が起こる前の1981〜1984年の市場調査では、25の都市で20万人を対象に新旧のコークを念入りに試飲テストしていたのですが、
そのブラインドテストでは55%vs45%でニューコークの方がオールドコークよりも好まれていたのです。
さらに、事前にどちらがオールドコークでニューコークかを知らされていた時では、ニューコークの方を好む人がさらに6%も多いことがわかりました。
なぜなら、市場調査の段階では「ニューコーク」の方が手に入りにくくて、「オールドコーク」の方が手に入りやすかったために前者に希少性が反映されたからですね。
「何かを失う」という恐怖は人に大きな影響を与えることが分かりますね。
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希少性の原理はなぜ発動するのか
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希少性の原理が発動する理由は大きく分けて2つです。
1.本能
2.エネルギーの節約
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1.本能
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結論、これは人間の本能なんですよね。
◆失う=死
われわれがサバンナで生活をしていた時代、何かを失うということは「死」に直結する概念でした。
なぜなら、例えば、所有している食べ物を失ってしまうと、次いつ手に入るか分からないからです。
(昔はコンビニなんてありませんからね)
だから、手に入った食べ物をなんとしても所有しようとしていたのです。
このように、われわれはサバンナ時代に培った本能によって、何かを失うという「損失」に敏感に反応するようにできています。
だから、ある対象に希少性がある場合、それを失うたくないという欲求から、その価値を高く見積もってしまうのです。
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2.脳のエネルギーの節約
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希少性の原理は、われわれの脳のエネルギーを節約するのに、一役買っています。
(われわれの脳のエネルギーは、1日の中で使用できる容量が決められている)
なぜなら、「限定されたもの=価値が高い」と一瞬で判断することができれば、その対象の質について吟味する必要がなくなるからです。
例えば、「限定10個しかない人形」と言われた時に、「本当に10個しかないのか?」と疑い、ネットで調べまくるなんてことはしないですよね?
このように、「限定されたもの=価値が高い」という方程式を脳の中に持っていれば、脳のエネルギーを無駄に消耗する必要がなくなるのです。
◆デメリット
しかし、もちろん、これにはデメリットも存在します。
それは、スピードを優先してしまうあまりに、質を捨ててしまうということです。
例えば、「限定10個ですよ〜」と言われて購入したものの、それは嘘で、紛い物だったなんてことにもつながりますからね。
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希少性の原理の実験
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ではここで、希少性の原理を証明するある実験を紹介します。
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ステファン・ウォーチェルの実験
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社会心理学者のステファン・ウォーチェルは、被験者に2つの瓶に入ったチョコレートを評価してもらうという実験を行いました。
その際、チョコレートの入れ物を2つにわけます。
1.瓶の中に10枚入ったチョコクッキー
2.瓶の中に2枚入ったチョコクッキー
それから、それぞれのクッキーを食べた被験者に、クッキーの味を評価してもらい価格を設定してもらいました。
結果、多くの被験者が2のクッキーの方が、1のクッキーよりも美味しいと評価し、クッキーの値段も高く設定したのです。
つまり、同じ味のクッキーであるにも関わらず、手に入りにくいものに対してはそれだけ高く評価したということですね。
◆続きの実験
ウォーチェルは、
1.新たに手に入りにくくなったもの
2.もともと手に入りにくかったもの
のどちら高い価値をつけるのか?ということについての実験も行いました。
今度は、被験者に先ほどとは違った2つのパターンのクッキーの瓶を渡し、それを食べてもらいます。
1.瓶の中に10枚入ったチョコクッキーから、2枚しか入っていないチョコクッキーに取り替えたパターン
2.瓶の中にもともと2枚しかチョコクッキーが入っていないパターン
この条件の場合、どちらのクッキーの方が美味しいと評価されたのかを調べました。
結果は、?@のクッキーの方が?Aよりも高く評価されたのです。
つまり、最初から量に制限をかけられる方よりも、あとから制限をかけられる方に大きな影響を受けるということですね。
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希少性の原理と関連した心理学
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ここからは、希少性の関連した心理学をいくつか紹介していきます。
・心理的リアクタンス
・損失回避
・保有効果
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心理的リアクタンス
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心理的リアクタンスとは、自由を制限されるほど、その自由を取り戻そうとする心理現象のことです。
◆説得すると、逆の行動をとりたくなる
例えば、友達の恋愛相談に乗っている時に「絶対に別れた方がいいよ!」と伝えると、「でも良いところもあるのよねぇ〜」なんて言う友達っていませんか?
他にも、親に「勉強しなさい!」と言われれば言われるほど、モチベーションが下がってしまったなんてこともありませんか?
このように、われわれは、自由を制限されることで、それを取り戻そうとする心理が働くのです。
<関連記事>
>>心理的リアクタンス 制限されるほどやりたくなる心理学
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損失回避の法則
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人間は、何かを得るという「利得」よりも、何かを失うという「損失」に影響を受けやすいという性質があります。
これをプロスペクト理論といいます。
◆「失う」=「死」
われわれがサバンナで生活をしていた時代、何かを失うということは「死」に直結する概念でした。
例えば、所有している食べ物を失ってしまうと、次いつ手に入るか分からないわけです。
(昔はコンビニなんてありませんからね)
だから、手に入った食べ物をなんとしても所有し続けようとしていたわけです。
このように、われわれはサバンナ時代に培った本能によって、何かを失うという「損失」に敏感に反応するようにできているわけです。
<関連記事>
>>プロスペクト理論 セールス・マーケティングに活用する方法
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保有効果
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保有効果とは、所有しているモノに対して、不当に価値付けしてしまう心理現象のことです。
例えば、「買ったもの」や「貰い物」をいつまでも捨てることができないのは、所有することでこれらの価値を高く見積もってしまっているからです。
他にも、投資の損切りができなかったり、恋愛をズルズル引きずっとしまうのも、保有効果が深く関連しています。
<関連記事>
>>保有効果 もう手放せなくなる心理学
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希少性の原理を営業に活用する方法
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ではここからは、希少性を営業に活用する方法について解説していきます。
1.現状を肯定する
2.説得し過ぎない
3.即決価格の提示
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1.現状を肯定する
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営業で難しいのは、相手のニーズを引っ張ってくることです。
しかし、あることをすることで、簡単にニーズを引っ張ってくることができるんですよね。
それは、相手の現状を肯定するという方法です。
例えば、あなたが保険の営業をしているとします。
顧客にダイレクトに「何か保険での悩みってありませんか?」なんて尋ねるのも売り込み感が出てしまいます。
そんな時は、「将来のことをものすごく考えられてそうですね!」と現状を肯定するのです。
すると、心理的リアクタンスが発動し「いやいや、そんなことないですよ〜」というレスポンスが返ってくる可能性が高まります。
このレスポンスが返って来たら、もう勝ちです。
なぜなら、あとは「そうなんですか?けっこうしっかりしてそうなのに!もしもよろしければそのお悩み聞かせてもらえますか?」と質問をぶつけるだけなので。
つまり、自然にニーズを引っ張ってこれるんですよね。
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2.説得し過ぎない
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「説得すればするほど、顧客が離れて行ってしまった…」なんていう経験はありませんか?
例えば、「この商品は〜な特徴があるんです!」「絶対に購入された方が良いですよ!」などとゴリ押しされると、心理的リアクタンスが発動し、逆に購入したくなくなります。
これは、ブーメラン効果といって心理的リアクタンスの一種です。
「押してダメなら引いてみろ」というコトワザがある通り、ゴリゴリ押す営業をするのではなく、顧客のニーズをしっかりヒアリングし、落ちついた提案をするようにしましょう。
<関連記事>
>>【ブーメラン効果】説得するほど離れていく心理学
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3.即決価格の提示
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即決価格の提示とは、この場で購入決断することで、割引をするという戦略のことです。
例えば、「本日ご購入いただけたら、1万円引きとさせていただきます!」みたいな感じですね。
これにより、顧客の「検討します」を封じ込めることができます。
営業マンとしては、「検討します」と言われて、家に持って持ち帰られるのを避けたいものです。
なぜなら、家に持って帰ることで、購入モチベーションが低下してしまうからです。
◆映画鑑賞
例えば、「映画を鑑賞した直後」か「映画を鑑賞してから1日後」だったら、どちらの方が感動レベルが高い状態ですか?
明らかに、前者ですよね?
これは、営業でも全く一緒です。
商品の説明をされた直後が一番感動しているので、それから時間が経過してしまうと、購入モチベーションが下がってしまいます。
だから、即決価格を提示することで即決を促し、少しでも機会損失を減らすことができるようになるのです。
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希少性の原理をマーケティングに活用する方法
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ではここからは、希少性をマーケティングに活用する方法について解説していきます。
1.限定性
2.期限付のポイント
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1.限定性
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人は、ある対象に限定性(「数量」「日数」「地域」「会員」など)があると、それを不当に価値付けしてしまう心理が働きます。
例えば、バーゲンセールなどで
・限定100個!
・5日間限定!
と言われると、「欲しい!」と思ってしまいますよね?
これは、「この機会を損したくない!」という欲求が働くからです。
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2.期限付のポイント
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ヨドバシカメラなども採用していますが、これも非常に効果的ですね。
例えば、あと3日で1000円分のポイントが消滅してしまうとします。
すると、今までためてきたポイントが無駄になるため、「使わないともったいない!」となりヨドバシカメラへ向うのです。
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まとめ:希少性の原理
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では最後にまとめましょう。
今回は、
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1.希少性の原理とは
2.希少性の原理を営業に活用する方法
3.希少性の原理をマーケティングに活用する方法
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というテーマでお送りしました。
希少性の原理は誰でも簡単に使えるコスパの良い心理法則です。なので、まだ販売戦略に導入していないのであれば、すぐにでも導入しましょう。
もしも、その他の心理法則について詳しく知りたい方は、下記の記事なども参考にしてもらえればと思います。
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心理学テクニックまとめ
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