平均への回帰とは、良いことも悪いことも最終的には平均へと戻るという概念のことです。
たとえば、テストで90点を採ったら、次は80点と成績が下がる可能性が高くなり、テストで50点を採ったら次は60点になる可能性が高くなるなんてことがあります。
つまり、人は良いこと・悪いことが起こり続けるということを考えてしまうのです。
しかし、多くの人たちは、90点を採った人は、次の点数で95点を採ると予測したり、50点だった人は次は40点を採ると予測してしまうのです。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで今回は、
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1.平均への回帰とは
2.平均への回帰の具体例
3.平均への回帰をモチベーションに活用する方法
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というテーマでお伝えしていこうと思います。
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平均への回帰とは
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平均への回帰
良いことも悪いことも最終的には平均へと戻るという概念
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平均への回帰の提唱者
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イギリスの人類学者、統計学者、探検家であるサー・フランシス・ゴルトンが、
1886年に、論文『身長の遺伝における平凡への回帰(Regression towards Mediocrity in Hereditary Stature )』にて発表しました。
※サー・フランシス・ゴルトンは『進化論』で知られるチャールズ・ダーウィンの従兄に当たります
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平均への回帰の具体例
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ではいくつか具体例をみていきましょう。
◆バスケットボール
今日の練習試合では、3ポイントシュートがものすごく入ります。
そのため、練習試合でも大活躍。
しかし、その次の練習試合では、以前の練習試合よりも思うように3ポイントシュートを決めることができません。
さらに、ちょっとミスが目立ちます。
それを周りは「前回の練習試合で調子にのったんじゃないのか!」と罵るのですが、それは違うよう。
なぜなら、前回の活躍っぷりからモチベーションが高まり、練習量も増やしていたからです。
それとも逆に、練習量を増やしたことで、身体にガタがきてしまったのでしょうか?
もちろん、上記のこともパフォーマンスが下がった原因として考えられるでしょう。
しかし、多くの場合、ただ平均への回帰をしただけと言えるでしょう。
つまり、良い時もあれば、悪い時もあるということです。
◆叱る教育・褒める教育
結論から言うと、心理学的に、褒める教育の方が叱る教育よりも、生徒のパフォーマンスを高めます。
このように、褒めることで、やる気が高まる心理効果を
エンハンシング効果といいます。
>>エンハンシング効果 やはり「叱る」より「褒める」がやる気を高める!?そんな中、叱る教育に力を入れる人たちがいます。
なぜなら、平均への回帰により、叱った後は成績やパフォーマンスが高まる可能性が高くなるからです。
つまり、「叱ったから、成果をあげることができたんだ!」と勘違いしてしまっているわけです。
別に、叱っても褒めても、結局は平均へ回帰するので、どちらの教育でも問題はありません。
しかし、叱ることで精神的苦痛に耐えることができず、メンタルがやられてしまう人たちのことを考えると、褒める教育の方が何倍も推奨すべきですよね。
◆一次面接と二次面接
あなたは、A社の採用担当をしているとする。
一次面接に来たBさんは、ものすごくハキハキしていて能力も高そうです。
しかし、二次面接では、前回よりもハキハキしていない感じ。
ということは、彼の採用は見送るべきなのでしょうか?
いや、そうではありません。
きっと、一次面接の時はめちゃめちゃパフォーマンスが良かった可能性が高く、逆に二次面接の時はちょっと緊張していたのかもしれないですよね。
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平均への回帰と教育
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ではここからは、平均への回帰を引用して、教育について論じていこうと思います。
よく「褒める教育・罰する教育」なんていいますが、どちらが正しいのでしょうか?
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ダニエル・カーネマンの体験
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これは、行動経済学者ダニエル・カーネマンが、イスラエル空軍の訓練教官に、訓練効果を高めるための心理学を指導していた時の話です。
カーネマンは、訓練教官たちに、このように指導しました。
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失敗を叱るよりも、能力向上を誉める方が効果的だ
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※空軍などでは「叱る」のが当然とされています
カーネマンのこの指導にはどのような意味があるのでしょうか?
これは、「誉めても叱っても結果は同じ」ということを意味しているのです。
つまり、上手くいった後は、前より上手くできなくなり、上手くいかなかった後は、前よりも上手くできるということです。
たとえば、ある練習で上手くいかなった訓練生がいたとします。
すると、教官は怒鳴り散らすわけですが、別に怒鳴る怒鳴らないに関係なく、次回は前よりも上手くいくできるんですよね。
しかし、それを教官は「怒鳴ったかいがあった!」と勘違いをしてしまうのです。
だから、このような厳しい訓練では、たびたび「叱った方が成果が出る!」と考えられてしまっているのです。
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平均への回帰をモチベーションに活用する方法
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どんなことでも上手く行かない時ってありますよね?
たとえば、
・今月は営業目標を達成できなかった…
・先月よりもブログのアクセス数が10%減だと!
・今日はチャンネル登録者が0人だった…
などなど。
では、上記のように何か嫌なことが起こったら、どのように対処すればいいのでしょうか?
結論からいうと下記の2つのことを意識しましょう。
1.平均への回帰を思い出す
2.周りと比較しない
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1.平均への回帰を思い出す
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たったこれだけ。
つまり、良いことがずっと起こり続けるなんてことはあり得ないということを論理的に理解するのです。
◆ブログで失敗する人の特徴
たとえば、今日のブログのアクセス数が100だったら、多くの人は「よっしゃー!明日は120を目指すぞ!」と大きな期待をしてしまいます。
しかし、何度もお伝えしているように、われわれの成果は残念ながら平均へ回帰します。
つまり、良いことが起こったら、次は悪いことが起こる可能性の方が高いのです。
これにより、多くの副業参入者は、未来のチャンスを掴むことなく、消えてしまうのです。
大切なことは、不意に悪いことが起きたとしても、行動し続けること。
行動し続けることができれば、スキルも上がっていくので、ブログのアクセス数も自然と増えていきます。
なので、悪いことが起きたら、「ヤスイの記事で平均への回帰の話があったな!」と思い出すようにしましょう。
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2.周りと比較しない
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好調なライバルをお手本にしてスキルUPをするはものすごくいいことですが、それによってメンタルがやられてしまったら本末転倒と言えるでしょう。
きっと、あなたは好調なライバルを見て「Aは上手くいっているのに、なんで私だけ上手くいかないんだ!」と憤慨しているのではないでしょうか?
しかし、そんな好調に見えるAも、必ず不調な時もあります。
なぜなら、成績は平均への回帰するからです。
つまり、あなたはAの好調なところばかりに目を配り、悪いところに目を向けていないだけ。
◆ライバルのブログを調べてみる
ライバルのブログをツールを使って調査してみると面白いですよ?
好調だと思えるライバルも、Googleのコアアップデートなどにより、先月よりも20%以上もアクセスが低下していることもあるので。
これは、別に他者の不調あところを喜べと言っているのではありません。
あくまでも、「どんなに好調に見えるライバルも平均への回帰するんだよ?」ということが伝えたいだけです。
▼おすすめ書籍
行動意思決定論
認知バイアス 心に潜むふしぎな働き
予想どおりに不合理
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まとめ:平均への回帰
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では最後にまとめましょう。
今回は
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1.平均への回帰とは
2.平均への回帰の具体例
3.平均への回帰をモチベーションに活用する方法
----------------------------------------------
というテーマでお伝えしました。
平均への回帰は、あなたが不調な時に、正常なメンタルに戻してくれるきっかけだと考えてください。
人は、不調な時についついマイナスな方へ考えてしまいがちです。しかし、それも統計から見ると、ただ平均へ回帰しているだけ。
悪いことが起きた時こそ、平均への回帰を思い出して、あなたのパフォーマンス向上につなげてもらえればと思います。
もしも、本日伝えした平均への回帰のように、直感的な思考について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてもらえればと思います。
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