アンカリング効果とは、先行刺激が基準となって、後続刺激の認知が歪んでしまうという心理現象のことです。
たとえば、「5万円で提供します」と言われるよりも、「7万円のところを5万円で提供します」と言われた方が安いと感じてしまいますよね?
このように、先行刺激によって、後続刺激の認知が歪んで判断されてしまうのです。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで今回は、
今回のテーマ
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1.アンカリング効果とは
2.アンカリング効果をセールスに活用する方法
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というテーマでお伝えしていこうと思います。
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アンカリング効果とは
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アンカリング効果
先行刺激が基準となって、後続刺激の認知が歪んでしまうという心理現象
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アンカリング効果は、「係留ヒューリスティック」とも呼ばれています。
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アンカリング効果の具体例
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ではいくつか具体例を見ていきましょう。
◆軽い荷物と重い荷物
最初に10キロの荷物を持つと、「重い!」と感じてしまうでしょう。
しかし、面白いもので、最初に7キロの荷物を持ってから、10キロの荷物を持つと「軽い!」と感じてしまうんですよね。
これは脳が無意識のうちに、最初に持った10キロの荷物を基準化したことによって起こった現象です。
◆「安い」と感じるパソコン
たとえば、あるパソコンの価格を2つの方法で提示したとします。
A)20%OFF
参考価格:90,000円のところ
表示価格:72,000円
B)
表示価格:72,000円
この場合、多くの人たちは、Aで提示された方を「安い!」と感じ、購入するようになります。
なぜなら、参考価格である90,000円を先に提示することにより、これが基準となり表示価格である72,000円が歪められて認知されたからです。
◆物件を紹介するテクニック
「不動産会社」はアンカリング効果を上手く使って売上を上げています。
下記のような順番で、物件を紹介してきたら要注意ですよ。
1.ちょっと手の届きそうもない高価な物件
↓
2.めちゃめちゃ汚い物件
↓
3.条件に当てはまったそこそこの物件
このような順番で物件を紹介されると、?@と?Aが基準となり、?Bがマシに見えてくるんですよね。
その結果、即決で物件を決めることになるわけです。
************************************************ん
アンカリング効果はなぜ発動するのか
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結論、プライミング効果によるものです。
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プライミング効果
先行刺激(プライマー)が無意識に、思考・行動(ターゲット)に影響を与えるという心理現象
「プライミング」とは、「呼び起こす」という意味です
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エロい気分にさせる
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たとえば、好きな異性とデートをする時に、「ヌルヌル」「ベトベト」「ジュボジュボ」などの単語を散りばめて会話をすることで、相手をエロい気分にさせることができます。
なぜなら、「ヌルヌル」などの単語によって、それと関連した「エロい気分」が無意識にプライミングされる(呼び起こされる)からです。
<関連記事>
【プライミング効果】人の思考・行動の9割は操作されている************************************************
アンカリング効果の実験
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半分の被験者には、次の計算を5秒以内にしてもらいます。
8×7×6×5×4×3×2×1=?
結果、答えの中央値は「2,250」でした。
そして、もう半分の被験者には次の計算を同じように5秒でしてもらいます。
1×2×3×4×5×6×7×8=?
結果、答えの中央値は「512」でした。
見てもらえば分か通り、これら2つの計算式の答えは一緒になるはずですよね?
(答え:40,320)
にも関わらず、最初に見た数字がアンカー(基準)となってしまったために、予測数値が大きくなったり、小さくなったりしたのです。
つまり、最初に「8」から計算したグループは計算結果が大きくなってしまい、最初に「1」から計算したグループは計算結果が小さくなってしまったということです。
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3種類のアンカリング効果
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では、さらにアンカリング効果についてさらに理解を深めていきましょう。
アンカリングには大きく分けると3種類存在します。
1.数字のアンカリング効果
2.要求のアンカリング効果
3.合図のアンカリング効果
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1.数字のコントラストの原理
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「数字のアンカリング効果」とは、先行の「数字」が、その後の「数字」に影響を与えるというものです。
ここまでで「数字のアンカリング効果」についてはかなり説明してきたのですが、もう少し理解を深めましょう。
◆前後の数字に関連性がなくてもOK
たとえば、価格を安く見せたいから、先行刺激は「円」にしなければならないのか?というとそうではありません。
つまり、先行刺激が「メートル」「キロ」などであっても、安いと感じさせることができるのです。
◆ダン・アリエリーの実験
行動経済学者のダン・アリエリーは、被験者にワインとチョコレートの値段を付けさせました。
しかし、ワインとチョコレートの値段を付けさせる前に、被験者たちには、彼らの社会保険番号の下二桁を確認してもらいました。
・・ ・・
その結果、下二桁が高い数字の被験者(99や88)は、下二桁が低い数字の被験者よりもワインとチョコレートに対して60〜120%も高い値段を付けたのです。
たとえば、被験者の付けた値段の平均が1,000円だった場合、16,00円〜2,200円の値を付けたということになります。
この実験では、先行の数字と後続の数字に関係性がなかったとしても、アンカリング効果の影響を受けるということが分かりました。
「社会保険番号」と「ワインとチョコレートの値段」は全く関係ないものですからね。
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2.要求のアンカリング効果
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「要求のアンカリング効果」とは、先行の「要求」がその後の「要求」に影響を与えるというものです。
最初に大きな要求をしてから、本命の要求をすることで、その承諾率を高めることができます。
このテクニックを、ドア・インザ・フェイスといいます。
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ドア・インザ・フェイス
最初に大きなお願いをしてから、本命のお願いをすることで、承諾率を高めるテクニック
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◆女性をデートに誘う
女性とデートに行ける確率を高めたいのであれば、まずは断られそうな要求をします。
・・・
たとえば、「今からお茶でもいかない?」というような感じです。
もちろん、急な誘いなので、女性は断るでしょう。
しかし、そこからすかさず「じゃあ今週の土日だったらどう?」と誘うです。
すると、女性は最初を要求を断ってしまった手前、その罪悪感から「じゃあ1回くらいだったら〜」という感じで、誘いを承諾してくれる確率が高まります。
このように、はじめから「今週の土日お茶でもいかない?」と誘うよりも、最初にちょっと大きめのお願いをして、断らせてからの方が、デートに行ける確率が高まるのです。
◆ロバート・チャルディーニの実験
被験者の大学生に対して、下記のお願いをしました。
(1)「非行少年を2時間ほど動物園に連れて行く、ボランティアをやってもらえませんか?」
この場合の学生たちの承諾率は17%という結果となりました。
しかし、先ほどのお願いをする前に、下記のお願いをすることで、
その承諾率が3倍近くに跳ね上がったのです。
(2)「2年間、毎週2回にわたり、非行少年たちのカウンセラーをしてもらえませんか?」
このお願いをした後に、本命の(1)のお願いをすると、承諾率は51%となりました。
このように、先に大きなお願いをしてから、本命の要求をした方が、承諾率は高まるということがわかりましたね。
<関連記事>
【ドア・インザ・フェイス(譲歩の返報性)】説得力を高める心理テクニック----------------------------------
3.合図のアンカリング効果
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「合図のアンカリング効果」とは、特定の合図をすることで、パフォーマンスを向上させる心理現象です。
これは、NLP(神経言語プログラミング)で使われている手法になります。
◆プロスポーツ選手
野球のイチロー選手だったら、バットを振る前に、袖をまくるポーズが有名ですよね。
お馴染みのイチロー選手のこのポーズ(ルーティーン) 日本時代からもやっていて、実はこのポーズはMLBでは侮辱行為と取られて報復死球を受けるだろうと一部で言われていました。 しかし実際にやってみるとそんな事はなかったわけで(笑)
ラグビーの五郎丸選手は、ボールを蹴る前のポーズも有名ですね。
サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手はフリーキックの前に仁王立ちのポーズをとります。
このように、普段取らないような特徴的な合図をすることで、パフォーマンスを高めることができます。
これを「条件付け」といいます。
◆パブロフの犬
「条件付け」でもっとも有名な話が「パブロフの犬」です。
犬にエサを与える前にベルを鳴らします。
これを何度の繰り返していくと、ベルを鳴らしただけで犬はよだれを垂らすようになるのです。
ベルを鳴らす(刺激)→よだれを垂らす(反応)
たとえば、集中してブログを書きたいと思うのであれば、
右手の拳を突き上げ「よし!執筆開始!」という動作を何度も繰り返すことで条件付けされ、パフォーマンスをコントロールすることができるようになります。
他にも、電車の中でイライラした時、目を瞑り大きな息を吐くことで、イライラを抑えたりすることができるようになったりもします。
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アンカリング効果をセールスに活用する方法
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ではここからは、アンカリング効果をセールスに活用する方法について解説します。
1.大きな数字から伝える
2.ハードルの高い要求から始める
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1.大きな数字から伝える
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これは「数字のアンカリング効果」です。
価格を提示する時は、必ずあなたの販売する価格よりも大きな数字を伝えるようにしましょう。
たとえば、販売する商品が30万円なのであれば、先にそれよりも高い金額を提示しておくのです。
▽これを使おう
・競合の価格
・平均相場
・別の数字
↓
・競合の販売価格は40万円なのですが、弊社では30万円で提供しております
・この業界の平均相場は50万円なのですが、弊社では30万円で提供しております
・最近、50万円の冷蔵庫を買っちゃったんですよ
〜みたいな感じですね。
ちなみに、3つ目の「別の数字」とは、あなたの商品価格と関係ない数字のことです。
これについては前述しましたが、「先行の数字」と「後続の数字」には関連性がなくても問題ありません。
なので、信頼関係を構築する際などに「50万円の冷蔵庫買っちゃったんですよ〜」みたいな話題に触れさせておくといいでしょう。
◆注意:二重価格表示
二重価格表示とは、参照価格を釣り上げて、割引率を上げるというものです。
たとえば、ある大手ネットショピングモールに消費者庁から指導が入りました。
ある野球チームが優勝した際に「優勝記念セール」と称して、お菓子の通常価格を12,000円として「77%引き!」の2,760円で販売したとして問題となりました。
12,000円→2,760円!(77%off)
これは、通常価格を意図的に引き上げることで、割引率を強調し、消費者に「安い!」と思わせる不当な戦略です。
価格を上げるのであれば、「適正な価格にする」または「付加価値を付ける」しかありません。
>>二重価格表示の詳しい内容は「消費者庁のページ」から----------------------------------
2.ハードルの高い要求から始める
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これは「要求のアンカリング効果」です。
◆コンサルティングを販売する
たとえば、何かしらのコンサルティングを販売しているとする。
商品のラインナップは、下記の内容となります。
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・個別コンサル型=50万円
・スクール型=30万円
・webサイト型=10万円
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この場合、まずは断られそうな50万円の価格から提案します。
もちろん、それで契約が決まれば万歳です。
しかし、もしもその要求が断られたとしても、問題ありません。
なぜなら、「要求のアンカリング効果」により、「スクール型=30万円」と「webサイト型=10万円」の契約率を大きく上げることができるからです。
◆具体例
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<具体例>
“ヤスイ”
どちらのコースにされますか?
もちろん、個別型コンサルの方がサポートが充実していますが?
お客さま
いや、でもそこまで資金に余裕があるわけじゃないので…
“ヤスイ”
そうですよね。
それでしたら日程を調整をしてもらう必要はありますが、「スクール型」でも全く問題ないと思いますよ?
お客さま
そうですよね。ではスクール型のコースにします!
“ヤスイ”
かしこまりました!
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まとめ:アンカリング効果
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では、最後にまとめましょう。
今回は、
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1.アンカリング効果とは
2.アンカリング効果をセールスに活用する方法
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というテーマでお伝えしました。
アンカリング効果を使うことで、本来は高いはずの商品を「安い!」と感じさせることができます。
これは、販売をものすごく有利に働かせる最強のテクニックと言えますね。
なので、まだ販売戦略の中に組み込んでいない方は、ぜひ組み込むようにしましょう。
もしも、その他の心理テクニックについて詳しく知りたい方は、下記の記事なども参考にしてもらえればと思います。
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心理学テクニックまとめ
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