ドア・インザ・フェイスとは、最初に大きなお願いをしてから、本命のお願いをすることで、承諾率を高めるテクニックです。
たとえば、女性をデートに誘う時、「今から食事でもいかない?」と誘います。
もちろん、女性はいきなりの誘いなので断ります。
そこで、すかさず「じゃあ、今週食事でもいこうよ!」と誘うのです。
すると、デートに行ける可能性が高まるのです。
きっと、「え!なんで!?」と思ったのではないでしょうか?
実は、これにはあるカラクリがあるのです。
というわけで今回は、
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1.ドア・インザ・フェイスとは
2.ドア・インザ・フェイスのポイント
3.ドア・インザ・フェイスを営業に活用する方法
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というテーマでお伝えしていこうと思います。
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ドア・インザ・フェイスとは
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ドア・インザ・フェイス
最初に大きなお願いをしてから、本命のお願いをすることで、承諾率を高めるテクニック
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ドア・インザ・フェイスの具体例
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ではいくつか具体例をみていきましょう。
◆女性をデートに誘う
女性とデートに行ける確率を高めたいのであれば、まずは断られそうなお誘い方をします。
・・・
たとえば、「今からお茶でもいかない?」というような感じです。
もちろん、急な誘いなので、女性は断るでしょう。
しかし、そこからすかさず「じゃあ今週の土日だったらどう?」と誘うです。
このように、はじめから「今週の土日お茶でもいかない?」と誘うよりも、最初にちょっと大きめのお願いをして、断らせてからの方が、デートに行ける確率が高まるのです。
◆仕事をお願いする
あなたが上司で、部下に大量の書類整理を頼みたいと思っているとする。
その場合はまずは、「この書類を今日までに整理できないかな?」とお願いします。
とうぜん部下は大量の書類を前に「いや〜今日中には難しいと思います…」と断りを入れます。
そして、すかさず「そうだよね〜。それだったら、明後日までにはなんとかなる?」とお願いをします。
すると、「それだったら!」と承諾してくれる可能性が高まるのです。
◆お金を貸してもらう
友達から1万円を貸してもらいたいのであれな、まずは「頼む!3万円貸してくれない?」とお願いをします。
友達は3万円という大金に「いや!無理でしょ!」と断りを入れます。
そしたら、すかさず「じゃあ1万円だけでもお願い!」と頼みます。
すると、はじめから1万円の要求をするよりも、高確率で3万円を貸してもらえます。
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ドア・インザ・フェイスの実験
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では、ドア・インザ・フェイスによってどれくらい承諾率を高めてくれるのか?を証明する実験を紹介します。
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承諾率が3倍になる
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1975年にがロバート・チャルディーニ行った実験を紹介します。
被験者の大学生に対して、下記のお願いをしました。
(1)「非行少年を2時間ほど動物園に連れて行く、ボランティアをやってもらえませんか?」
この場合の学生たちの承諾率は17%という結果となりました。
しかし、先ほどのお願いをする前に、下記のお願いをすることで、
その承諾率が3倍近くに跳ね上がったのです。
(2)「2年間、毎週2回にわたり、非行少年たちのカウンセラーをしてもらえませんか?」
それから本命である(1)のお願いをした場合、学生たちの承諾率は51%という結果となりました。
このように、先に大きなお願いをしてから、本命の要求をした方が、承諾率は高まるということがわかりましたね。
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ドア・インザ・フェイスはなぜ発動するのか
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ここからは、ドア・インザ・フェイスが発動する理由について解説していきます。
結論からいうと、下記の2つの心理現象が関連しているからです。
1.返報性の原理
2.アンカリング効果
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1.返報性の原理
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返報性の原理とは、貰い物をしたら、そのお返しをしなければならないと感じる心理現象です。
たとえば、バレンタインデーにチョコレートをもらったら、ホワイトデーにそのお返しをしなければならないと感じますよね?
<関連記事>
返報性の原理 マーケティングに活用する方法◆譲歩の返報性
譲歩の返報性とは、譲歩をされたら、こちらも譲歩しなければならないと感じる心理現象です。
たとえば、女性とデートに行ける確率を高めるのであれば、まずはじめにちょっとハードルが高いお願いをします。
「今からお茶でもいかない?」と。
もちろん、急な誘いなので、女性は断りをいれるのですが、これが大切。
どういうことかというと、
女性は、「そうだよね!それはしかたがないよね!」と男性に譲ってもらったわけです。
つまり、男性は、要求を断るということを承諾してくれたわけです。
だから、次に男性から「じゃあ今週の土日だったらどう?」という要求をされたら、女性は「さっきの要求は断っちゃたし…」と譲歩の返報性が生じ、デートに行ける確率が高まるのです。
▽まとめると、下記のような感じ
1.大きなお願い
↓
2.断る
↓
3.譲歩の返報性
↓
4.本命のお願い
↓
5.承諾率UP
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2.アンカリング効果
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アンカリング効果とは、「先行刺激」によって「後続刺激」が歪められて認知されてしまう心理現象のことです。
◆大きな要求→小さな要求
たとえば、最初から10キロの米俵を持ち上げるよりも、最初に20キロの米俵を持たされてからの方が軽いと感じますよね?
他にも、最初に「10万円です!」と伝えられるよりも、「業界の平均相場は20万円ほどなのですが〜」と伝えられた方が10万円を安いと感じやすくなるのです。
では、ドア・インザ・フェイスに話を戻しましょう。
いきなり「小さな要求」をしても、比較対象がないので、その要求を単体で判断することになってしまいます。
つまり、「要求を呑むか?呑まないか?」という判断になるのです。
しかし、「大きな要求」をしてからだと、「小さな要求を呑むか?大きな要求を呑むか?」という判断になります。
なので、小さな要求への承諾率が高まるのです。
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ドア・インザ・フェイスの5つのポイント
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ではここからは、ドア・インザ・フェイスを効果的に使う上で大切な5つのポイントをお伝えします。
1.最初の要求と次の要求の関連性
2.何度も使わない
3.最初の要求が大き過ぎないこと
4.最初の要求と次の要求に間を空けない
5.数字を使う
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1.最初の要求と次の要求の関連性
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「最初の要求」と「次の要求」にはある程度の関連性がなければなりません。
たとえば、下記のように使うとどうでしょうか?
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<具体例>
Aくん :僕と結婚してください!
Bちゃん:嫌だ
Aくん :じゃあ、10万円貸してください!
Bちゃん:はぁ?(意味分からない・・・)
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意味が分からなすぎますよね?
だから、必ず「最初の要求」と「次の要求」には関連性を持たせるようにしましょう。
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2.何度も使わない
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ドア・インザ・フェイスはいざという時に使いましょう。
テクニックだからといって、同じ人に何度も使ってしまうと手の内が読まれてしまいますし、人間性を疑われてしまいます。
「この人っているも無理なお願いばかりしてくるなぁ…」と。
なので、営業だったら、プレゼンテーションへ移行する時やクロージングの時など。
恋愛だったら、デートや告白の時など。
「ここだ!」という気合いを入れる必殺奥義として使うようにしましょう。
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3.最初の要求が大き過ぎないこと
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「最初の要求」が大きすぎると、「次の要求」に進む前に嫌われてしまいます。
たとえば、以下のようなケースです。
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NGのドア・インザ・フェイス
Aくん:500万円貸してくれる?
Bちゃん:え!?それは無理かな・・・(そんな無理なお願いしないでよ・・・神経を疑うわぁ〜)
Aくん:じゃあ10万円は?
Bちゃん:それも無理かな・・・
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「最初の要求」があまりにも倫理観を欠いていたり常識外れだったりすると、あとから「小さな要求」をしたところで、その要求を受けていれもらう可能性は非常に少なくなります。
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4.最初の要求と次の要求の間を空けない
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返報性の原理には、賞味期限があります。
◆フランシス・フリンの実験
実験の結果、「何かを与えた側」は時間が経つに連れて、自分が与えたものの価値を高く見積もり、「何かを与えられた側」は時間が経つに連れて、与えられたものの価値を低く見積もる傾向があるということがわかりました。
つまり、「譲歩の返報性」を利用したいのであれば、あなたが譲歩した後すぐに、相手に譲歩させる必要があるのです。
なぜなら、時間が経ってしまうと、相手はあなたの譲歩の価値を低く見積もってしまい、それに対してのお返しをしなくなる可能性が高くなるからです。
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5.数字を使う
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ドア・インザ・フェイスでは数字を使うと効果的です。
「たくさん」「いっぱい」などの抽象的な表現では、自分と相手の認知を合わせることが難しくなります。
だから、万人共通の数字を使うようにしましょう。
たとえば、時間・金額などの定量化されたものを用いるのです。
それぞれ見てみましょう。
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<時間バージョン>
“上司”:1時間残業できるかな?
部下 :いや、この後約束があるので難しいです
“上司”:じゃあ20分だけいいかな?
部下 :それでしたら大丈夫です
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<お金バージョン>
“ヤスイ”:3万円貸してくれない?
お客さま:俺も今月お金ないんだよ・・・
“ヤスイ”:5000円でも難しい?・・・
お客さま :それだったらいいよ
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まとめ:ドア・インザ・フェイス
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では最後にまとめましょう。
今回は、
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1.ドア・インザ・フェイスとは
2.ドア・インザ・フェイスのポイント
3.ドア・インザ・フェイスを営業に活用する方法
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というテーマでお伝えしました。
ドア・インザ・フェイスは、承諾率を高める上で非常に効果的なテクニックなので、しっかり使うようにしましょう。
ただ、繰り返しお伝えする通り、何度も繰り返し使うのではなく、「ここぞ!」という時に使うようにしてくださいね。
なぜなら、何度も使うと人間性を疑われてしまうからです。
もしも、は、下記の記事を参考にしてもらえればと思います。
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